タバコの真実  院長のタバコへの思い 


 はじめに 

桑田佳祐が食道がんだと判りました。約10年前まではヘビースモーカだったそうですが禁煙しました。それなのに何故?一般的には禁煙するとがんの危険性は年々減少し、10年も経つと危険性は半減します。間接喫煙が原因ではないかと思います。たぶん、彼の仲間の多くの方がタバコを吸っていると思います。彼本人が吸わなくても日常的に知らず知らずに間接喫煙していたのだと思います。知り合いに麻雀好きのN社長さんがいます。Nさんも約10年前に禁煙しましたが、人間ドッグで偶然肺がんが見つかりました。ご本人は禁煙したのに何故肺がんになったのだと不満です。主治医は「Nさん麻雀好きですよね!」と看破しました。Nさんは週に何度か麻雀をし、その際たっぷりと仲間のタバコの煙を吸わされていたそうです。タバコの危険度を計る指標に「プリックマン指数」があります。1日のタバコの本数xタバコを吸った年数で表されます。1日20本、10年間吸った人は20x10=200となります。このプリックマン指数が高いほど危険度が増します。400以上で肺がんの危険、600以上だと高度危険、1200以上は喉頭がんが極めて危険になります。プリックマン指数200以上の方は健康保険を使って禁煙治療が受けられます。


「吹きかける煙で子供の胸が病む!」

私の職業は小児科医です。時には、外来にタバコくさい臭いをした付添の方が見えられます。患者さんの子供は気管支喘息です。アメリカの統計では喘息の小児にいかなる治療をしても両親がタバコを吸っていると改善率は低く27%にすぎない。しかし、両親が禁煙すると改善率は90%になると報告されています。無意識の虐待行為です。「無知の罪」です。時にはタバコの不始末で赤ちゃんがタバコを誤って食べたと走り込まれます。自身のタバコを始末できない方にタバコを吸う資格はありません。「子供には目の高さなの、そのタバコ!」歩きたばこで火傷をさせられた子供も来ます。小児科医の仕事の1つは物言えぬ子どもに代わって大人に発言することです。


  
間接喫煙でのあるエピソード

 私が何故タバコ問題に取り組んでいるのか?その原点をお話しいたします。

 私には尊敬する先輩が何人かいます。その中のお一人の話です。彼は私とは違い大変温厚でかつ人の面倒見の良い方で多くの人に慕われていました。そんな彼がある時、結婚式の主賓として招待されました。披露宴が進むにつれ緊張感が薄れ会場のあちらこちらからタバコの煙が立ち上がります。次第に会場はタバコの煙で満たされていきます。彼の様子が変です。お隣に座っている奥様がそのことに気づかれます。ゼイゼイ、ヒュウヒュウといった音が聞かれます。彼は息苦しそうです。そうです、彼は喘息持ちで、会場に蔓延したタバコの煙で喘息の発作が起きたのです。見かねて奥様が「退席しましょう」とお声を掛けられます。しかし、彼は「主賓の私が退席すれば披露宴に迷惑がかかるから」と退席しません。律儀すぎます。ゼイゼイ、ヒュウヒュウとても苦しそうです。何度も奥様は退席を進めました……。なんとか2時間余りの披露宴を終え待たせてあったタクシーに飛び乗り、病院へ駆けつけます。しかし、玄関先で彼は倒れ込みました。懸命の蘇生術が施されました。しかし喘息による窒息死で帰らぬ人となります。こんな悲しくて、理不尽な事があってよいものでしょうか?これが私のたばこ問題に関わる原点です。


まだ吸うの、言われる内は愛がある」

 JTの陰謀、いかにして喫煙させるか!軽いタバコは本当に体に害が少ないのか??タール、ニコチンの含有量の少ないタバコを求めて吸う方が多いように思います。軽いタバコにはマジックがあります。ニコチンやタールを測定するときに吸い口の近くに外気を多く取り込む仕掛けがタバコにはしてあります。そのため実際よりも薄まった濃度を測定して軽いタバコに見せています。濃度が薄い分、より深く、かつ、ぎりぎり根元まで吸うためかえってニコチンやタールはより沢山体に入ってしまいます。さらにメントールも配合して清涼感を出し吸い易くしています。おまけも欲しくなる様な素敵なものが多く、購買意欲をそそります。そんな罠で女性や年少者は簡単にニコチン中毒に罹り、なかなかタバコから逃れられない体になってしまいます。


「禁煙に勝る美肌のすべはなし」

 先日馴染みの居酒屋さんへ行きました。3人の若い女性がいました。ひっきりなしにタバコを吸っていました。飲み食いすることが少ないので売りあげにはあまり貢献していません。当然こちらに煙が流れてきます。目が痛く、煙にむせてしまいます。当方が困っていても傍若無人の振る舞いです。そうこうするうちに相手の職業が看護師だと判りました。医療に携わる者が周囲に配慮しないで間接喫煙を強いている姿は白衣の天使ではなく、悪魔に見えました。こんな看護師のいる病院には掛かりたくないと思いました。しかし、看護師はとてもストレスの多い職業です。そのため女性の中でも喫煙率が特に高いことが知られています。人々の健康に携わっている人でも一旦ニコチン中毒になると他人の健康を思いやる当たり前の判断ができなくなります。看護協会も頭を痛め、さまざまな対策に取り組んでいます。ストレスはできるだけ上手に減らしましょう。また職場からストレスを少なくする工夫が大切です。ストレスの発散方法を誤った結果の喫煙です。ちなみにタバコはお肌の老化を5年早めます。女性はきれいな肌で吐く息もバラの香りでありたいものです。


「子供らの学力下げる副流煙」

大人の禁煙を推進するのはかなり困難です。先進国を見ても喫煙率は20%にまでしか下がりません。ことかようにタバコ問題は難しい。ニコチン中毒は麻薬問題に匹敵します。ここ数年前から「新たに喫煙する人を少なくすれば、いずれタバコを吸う人がいなくなるのでは」との発想から、出前で「禁煙教室」を開いています。対象はこれから吸い始める小学6年生が主。中学生では少し手遅れのようです。小学生高学年にもなると素直によく聞いて、理解してくれます。家に帰り家族にもタバコの害を話してもらえます。時には喫煙家族のかたくなな態度に子供が立ち往生することもありますが、理不尽が世の中の常です。うまく乗り越えて欲しいものです。子供達にはいきなり「勉強しなさい!」と言われたら腹が立つだろう。大人も同じで「禁煙してョ!」といきなり言っては腹立てるのが落ちだから「お父さんが元気でいて欲しいからタバコ止めて」などとやさしくタバコの害を語りかけるように指導しています。

ちなみにタバコに晒された子供達の知能や体力は低い傾向にあります。

禁煙するのはとても大変です。しかし

初めから吸わないことはとても容易しいことです。


「タバコ止め孫が抱っこと寄ってきた」

私の外来には気管支喘息を患った子供達が来院します。付添の方に「同居している人にタバコを吸う方はいますか?」と質問します。同居している祖父母が吸っている場合、「子供の喘息にタバコ良くないと医者から言われたので子供の前で吸うのを控えてください」などと嫁の立場としてなかなか言えません。今度喘息発作起こったら、爺ちゃんに連れて来てもらってください。私から代わりに言いますから。とてもまだるっこい対応になります。「昔は家の中タバコの煙で一杯やったけど俺はこの年になっても元気やぞ!」などと抵抗されます。普通、人は自分の都合のよい事しか見ようとしません。周囲を見渡せばタバコで癌、脳梗塞、肺気腫になっている知人友人が沢山いるのに見えない、もしくは無意識に見ないようにしています。お孫さんが喘息で苦しむ姿を直視してください。



 
 いっそのことタバコをやめようと思われた方読んでください。

 タバコを止めたいがなかなか止められない。これはニコチン中毒心理的依存症によるものです。今回はニコチン中毒について話します。タバコを吸うとニコチンが吸収されます。このニコチンは脳に運ばれ「脳内麻薬」を放出するスイッチを押します。「脳内麻薬」が脳に充満し気持ち良くなります。ニコチンが切れるとイライラが募りもっと「脳内麻薬」を!こうしてニコチン依存症が出来上がります。禁煙外来ではニコチン依存度を測る指標を用意してあります。例えば「自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?」など10の質問で「はい」の数が多いほどニコチン依存度が高いと判断されます。ニコチン依存症と判断されると、禁煙に際し2つの方法が選択できます。ひとつは禁煙宣言日から「ニコチンパッチ」を使いニコチンだけを皮膚から摂取し少しずつニコチンの摂取量を減らしていく方法です。もう一つはタバコを吸いながらお薬を飲んでもらう方法です。このお薬は「脳内麻薬」を放出するスイッチに蓋をしてしまいます。タバコを吸っても「脳内麻薬」がでないので、期待に反しちっとも美味しくありません。「なぜこんな美味しくもないものに健康を害してまでお金をかけていたのか」との疑問を持ちます。それにより禁煙の意志がより強固になります。こちらの方が禁煙成功率が高く、無理が少ないようです。

「金かけて シミ しわ 白髪 やがて癌」

前回はタバコを吸ってもおいしく感じなくする薬の話でした。禁煙するにはニコチン依存と心理依存の2つの依存症を克服する必要があります。今回はタバコの心理的依存症について話します。

口寂しいからタバコについ手がいく方、赤ちゃんのおしゃぶりに似ています。目覚めの一服、食後の一服、暇を持て余す、仕事の区切り、間が持たない。など喫煙が生活の一部になっています。

生活習慣を見直すことが大切です。口さみしさを上手にしのぐ為、タバコが欲しくなったら、干し昆布、ガムなどを噛む。ガムは虫歯予防を兼ねてキシリトール入りがベター。暇を持て余す方には毎日、無理なくできる散歩や運動を続ける。運動は今までタバコで荒れていた胃が、本来の健康状態に戻り食欲が増進し、体重増加する事の予防にもなります。目覚めの一服の代わりに顔を洗い、軽く体操をする。食後の一服の代わりに歯を磨く。食後できるだけ早く歯を磨くと歯周病の予防にもなります。仕事の区切りには軽い体操をする。肩凝りの予防にもなります。禁煙とこれらの生活習慣の見直しによりどんどん健康体になります。タバコを吸っていた時の朝の不快な吐き気、咳込みが無くなっていきます。タバコの害について自分なりのイメージを持ち、禁煙してよかったことを考えると禁煙がより強固なものになります。仲間に禁煙を呼びかけお互いに励まし合うのも良いことです。しかし、あまり深く思いこまないで、一度でうまくいかなくとも、楽な気持でなんどでも禁煙宣言するのが良いですよ。

スポーツとタバコの関係について

赤血球中に含まれるヘモグロビンは、酸素の運搬を司ります。この赤血球=ヘモグロビンを増加させる方法に、高地トレーニングが知られています。これは標高が高いところでトレーニングを行うことにより、低酸素状態に体をさらして、赤血球の産生を増やすのが目的です。同時に、肺での酸素の取り込み効率も良くなります。この事で運動能力が高まります。一方、タバコを吸うと一酸化炭素も同時に体内に入ってきます。この一酸化炭素はヘモグロビンに結合する能力が酸素の約1000倍もあります。そのためタバコを吸っている人は酸素欠乏状態になり運動能力が落ちます。それを補うため赤血球=ヘモグロビンが多くなります。しかし赤血球があまり多くなりすぎると、血液の粘性が高くなり、いわゆるドロドロ血になります。ニコチンの血管収縮作用と重なり細い血管が詰まってしまう可能性が高まります。心臓や脳の血管が詰まると、後遺症が残ったり、急死する危険性が高まります。

健康はもちろん、運動能力を最大限に保つため、松井秀喜 イチローなどの一流のアスリートはタバコを吸いません。



  父の胃がんとタバコの関係

 中学生から祖父母と一緒に暮らすようになり、父母、妹と私の3世代で過ごしました。
祖父母は大和風呂でキセル煙草、父は紙巻きたばこを吸っていました。 夜になると人が集まる家だったので茶の間はいつも紫煙が漂っていました。年末になると大掃除をしますが、障子をはじめ到る所がタバコのヤニで茶色でした。このヤニ汚染について母は掃除が大変だとこぼしていました。その頃はタバコの害についてはほとんど知られていなく、医者の祖父も無頓着に吸っていました。私が医学部に進学し、公衆衛生の授業ではじめてタバコが肺がんの原因になることを知りました。それ以来父に禁煙を勧め、10年くらいかけてようやく禁煙にこぎつけました。完全に禁煙できたのは孫が出来た頃だったと思います。その後、70歳過ぎに父は胃がんで手術を受けます。術後に気管内挿管を抜くのが、かなり遅れました。タバコで肺機能が低下しているためだと言われました。胃潰瘍の40%、胃がんの25%はタバコが原因です。肺気腫、気管支拡張症の約半分はたばこが原因で呼吸機能の低下をきたします。もっと早くに禁煙できていればと悔やまれます。喫煙者の皆様、ご自身の健康のため、家族に心配をかけないよう禁煙しましょう。

「タバコの歴史」について

 タバコはナス科タバコ属に分類され、南米アンデス高地で誕生したとされています。マヤ文明が繁栄していたころ、メキシコの中央高地のアステカ族では、タバコは神事祭事の折に神々に捧げる香として、戦勝祈願や予言、占いの折の供物として、病気治療の医薬として用いられていました。1492年コロンブスの(西洋文明から見た)アメリカ大陸発見によりタバコは梅毒と共にヨーロッパにもたらされました。その後日本にたばこが伝来したのは16世紀の末です。ヨーロッパ人は、医学が有効な治療法を確立できていなかったペストの大流行(16世紀後半~17世紀中ごろ)時などに、新世界からもたらされた未知の植物であるタバコは、その効力はともかく、またたく間に万能薬に祭り上げられてしまいました。タバコに含まれるニコチンの依存性が、さまざまな意味で人類を虜にし、タバコの浸透を助けたと言えます。18世紀に入ってもタバコは依然として、医療目的ないしは病気の予防のためという理由に大いに支えられていました。19世紀後半には一種の職業病と考えられていた肺がんは、1930年代に入ると英国や米国、ドイツの学者らによって喫煙との関係が指摘されるようになり、50年代に研究が急速に進展しました。その結果、60年代前半には喫煙と肺がんの因果関係について、英米において公式な報告書が出されるに至ったのです。そして今日では、喫煙は“喫煙病(依存症+喫煙関連疾患)”という全身の病気であると認識されるようになり、治療が必要と判断される様になりました。


「禁煙」と言われる内は愛がある 

禁煙外来を始めるにあたり一酸化炭素濃度測定器具が必要になり購入しました。タバコは不完全燃焼をするので、一酸化炭素を同時に吸入します。呼気中の一酸化炭素の量からタバコの吸入量を間接的には計る器具です。往診に行くある家庭では常にヤニ臭いので、ある時、タバコを吸わない主婦の一酸化炭素を測定しました。なんと中程度の喫煙者と同等の測定値を得ました。家族の間接喫煙の典型です。この結果をご主人に提示したところ夫婦げんかに発展してしまいました。(;一_) しかし、その後数ヶ月後にご主人は禁煙に成功しました。雨降って地固まる。(*^_^*)話した甲斐がありました。

スコットランドで2006年に施行された公共の場での禁煙法により、重度の小児ぜんそく発作数が年間18%も減少しました。禁煙法に批判的な人達は公共の場で吸えなくなると家庭で吸う機会が増えて子供達のリスクが増えるだろうと予想しましたが、みごとに外れました。間接喫煙の害に我が子まで巻き込まないでおこうという親の意識が働いたのでしょう。同時にバーで働く人の呼吸障害も減少しました。

  タバコは就活にマイナス?

厚生労働省研究班で「たばこと就職に関する」調査がされました。研究班の溝田友里国立がん研究センター研究員は「採用基準になっていなくても、喫煙は就職に何らかのマイナスの影響を与えていると考えられる」との事。
シアトル大学のワイス教授の研究によると、アメリカでは喫煙者を一人雇用すると年間約55万円が余分に掛かると算出されました。労働時間の損失で1/2。たばこによる本人と周囲の人の健康障害に掛かる医療費が1/3を占めます。その他OA機器や空調の劣化が早くなるなどです。確かに、仕事中に一人抜け出して喫煙所へ、非喫煙者には「さぼり」と映ります。タバコ臭いニオイをまき散らして他人に迷惑をかけ、挙句にタバコ関連の病気で仕事を休み会社に迷惑をかける。など、よほど優秀で貴重な人材以外は会社は採用を控えて当然です日本の現状は、約30%の人事関係者が喫煙者に対し採用時に明らかにマイナス点をつけています。タバコ臭い身体で面接に現われば、周囲に配慮できない人と評価され、会社にとっては不要なのです。社員全員が非喫煙者ならば改めて喫煙所を造る無駄な場所と費用がかかりません。

   なろうと思えばなれる肺がん!と肺気腫!

タバコを1日に1箱吸っている人は1年に約200mlあまりのタールを肺に流し込んでいると計算されます。一度に流し込まれたら窒息死しますが、体は健気にも毎日毎日入ってきたタールを押し戻しています。それでも少しづつ蓄積されていきます。そして肺を蝕んでいきます。肺気腫は肺胞が破壊され、酸素交換作用を阻害される病気です。症状が進むと少し体を動かすだけで息苦しさを感じます。ロータリアンの中にも壇上でお話をされる重鎮の中にゼコゼコしながら話されている方が罹っていると思われます。重くなると夜寝るときに酸素ボンベが必要になることもあります。この症状は確実にタバコを吸っている限り一歩一歩悪化します。肺がんになった人の4分の3がタバコが原因ですが、茹でガエルになって気がついたらゼコゼコ状態のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も恐ろしい病気です。以前にも話しましたが、ブリックマン指数、一日に吸うタバコの本数×喫煙年数で表します。その指数が400以上:肺がんが発生しやすい  600以上:肺がんの高度危険群  1200以上:喉頭がんの危険性が極めて高くなる となっています。喫煙者の皆様ご留意ください。

 肺がんになると医療費はいくらかかるか?

 肺切除術を含めて初めの4月間に約320万円かかる
と試算されます。内訳は最初の月は手術費144万円と検査その他、翌月は検査、薬の費用など約80万円、3,4月目が各20万円。自己負担は?月に10万円くらい。高額医療費のため280万円は戻ってきます。還付金は国民の税金から。明らかに「体に悪いこと=喫煙」をして、医療費を人よりたくさん使う。どこかの国、確かシンガポールだったと思いますが、健康保険を使用しない分保険金が安くなり、また親族間でその健康保険を使用しない分をお互いに融通し利用できるとの事。とても合理的です。日頃から健康に留意して税金をあまり使わないようにしている人とそうではない人に何らかの差があっても良いと思います。


   タバコの害のおさらい

タバコには判っているだけでも200種以上の有害物質が含まれている。

代表的なものとして、1)血管収縮作用依存症をきたすニコチン 2)様々なを生じさせるタール 3)酸素運搬を妨げ運動能力の低下をきたし、どろどろ血にする一酸化炭素。ドロドロ血は血管収縮作用と一緒になって心筋梗塞、脳梗塞をおこします。有害物質にはダイオキシン、ヒ素、カドミウム、ベンツピレンなども含まれます。これらの毒物は気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、生まれてくる子供の知能低下、精神疾患(学校破壊の原因の一つになっている注意欠陥障害など)といった健康および精神障害を起こします。これらの被害は喫煙者本人はもちろん、その周囲にいる間接喫煙者にも及びます。 環境への悪影響として、火事、ゴミ、小さな子どもの誤食の原因の1位がたばこです。波打ち際の打ち寄せられたごみを覗いてみてください。腐らないタバコのフィルターが沢山見られます。このフィルターが死んだ海洋生物の消化器官から見出されています。

    禁煙を勧めるときはやさしく!病人に接するがごとく。

  先ず、ニコチンについて再度勉強しましょう。以下ウイキペディアを参考にしました。

 ニコチン (nicotine) はアルカロイドの一種であり毒物および劇物取締法に毒物として指定された物質である。天然由来の物質であり、即効性の非常に強い神経毒性を持つ。半数致死量は人で0.5mg1.0mg/kgと猛毒で、その毒性は青酸カリの倍以上に匹敵する。ほぼ全ての生物に対して毒性を発揮する為、殺虫などの用途で使用されている。しかし人間に対しても毒性を発揮する為、近年は害虫などに対してのみ選択的に毒性を発揮するよう改良されたネオニコチノイドなどが開発され使用されるようになった。ニコチンは主に中枢神経および末梢に存在するニコチン性アセチルコリン受容体 に作用することで薬理作用を表す。そのうち、特に依存性の形成に関与する部位として中脳辺縁系のドパミン神経系が挙げられる。このドパミン神経系は「報酬系回路」として知られており、快の感覚を個体に与えるため、強化行動をひき起こす。この中脳辺縁系のドパミン神経の興奮を介した依存性の形成メカニズムは他の依存性薬物(コカイン、ヘロイン、アンフェタミンなど)と同じとされるが半数致死量の低さと他細胞系への薬理作用の点から、麻薬とはされておらず、毒物に指定されている。末梢においては、中枢神経からの間接的な作用と、末梢の ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することで毛細血管を収縮させ血圧を上昇させ、縮瞳、悪心、嘔吐、下痢などをひきおこす。中毒性があり、通常量でも頭痛・心臓障害・不眠・苛立ちを感じるなどの症状、過量投与では嘔吐、振戦、痙攣、死亡を起こす。乳幼児ではニコチン量で1020mg(タバコ0.51本)、成人は4060mg23本)を、直接、溶液で飲下した場合に急性中毒に達する(急性致死量)。軽症では嘔気やめまい、脈拍上昇・呼吸促迫などの刺激・精神の脱抑制や興奮症状がみられる。重くなると、徐脈・けいれん・意識障害・呼吸麻痺などの抑制症状が見られる。嘔吐は 1060分以内、中毒症状は24時間の間にほとんど現われ、誤食による中毒症状の出現頻度は、軽い症状も含めて14%程度とされる。

以上からお判りのようにタバコが止められないのは「褒賞系回路」が働き麻薬作用によるものだとご理解していただけたでしょうか。それゆえ病人に接するように禁煙を勧めなくてはいけないのです。ニコチンの毒性が青酸カリの倍以上とは改めて驚きですね!!1


    電子タバコについて

 アイコスなど様々な電子タバコが発売されました。どれも従来品よりタバコの様々な害が少なくなったことを宣伝しています。

喫煙者は健康被害に敏感です。煙が出ない分タールは減りましたが、
図1とは別の研究では、物足りないので深く吸いニコチンの量は増えたとの報告もあります。
害が少ないと思い、吸い始める方々はより早くにニコチン依存症になってしまいます。さすがJT!戦略がこまやか!
  
電子タバコと言えども間接喫煙の害は残ります。蒸気のタールは減少しましたが、増えた有害物質もあります。
電子タバコは一見かっこよく見えますが所詮タバコの葉を熱で蒸してその成分を吸わせている代物です。
目先を変えて新しいユーザー確保に邁進しているのがJTの戦略です。
 
  更新  図1. 加熱式たばこおよび紙巻きたばこ吸引後の血中ニコチン濃度の変化

Nicotine Tob Res 2016; 18: 557-563


2. 加熱式たばこおよび紙巻きたばこの1本当たりの主流煙に含まれる有害成分量

                       (田淵貴大氏発表資料)

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