指しゃぶりやおしゃぶりについて
「歯並びが悪くなる」「取れなくなるよ」なんて噂を聞いたことありませんか?
やっぱりしゃぶらせるのはよくないかしら...
と不安なお父さんお母さんも多いはずです。
今回は指しゃぶり・おしゃぶりと歯並びについてお話ししようと思います。
★3才までなら指しゃぶりをしていても
........... 心配ありません..........
3才まで、というのはまだ歯が抜けかわっていない乳歯の段階です。
このころは指しゃぶりによって歯並びが悪くなることはほとんどありません。
たとえ乳歯の歯並びに多少の問題が発生しても、
永久歯に後遺症を残すことはまれだからです。
また、このころの指しゃぶりは発達過程の一時的なもので、
放置しておけば自然になくなっていくのが一般的です。
成長とともに積み木などの手を使った遊びを覚え指しゃぶりをしなくなってきます。
3才を過ぎても指しゃぶりが続いている場合は、大人が意識して、
徐々に指しゃぶりをやめさせる方向にもっていきましょう。
4歳を超えるまでに卒業していれば問題ないと言えるのですが、
4歳を超えてから止めさせようとしても自我が大きく芽生え、
それまでずっと続けてきた癖をいきなり治すというのはなかなか難しいようです。
大人で言うところの禁煙と同じです。
歯並びに悪影響を及ぼさないためには、
やめさせる時期は4才までがボーダーラインかもしれません。
★おしゃぶりも3才までなら影響ありません
最近、おしゃぶりをくわえている赤ちゃんをよく見かけます。
おしゃぶりを与えればおとなしくしてくれるという大人側の都合からでしょう。
さて、おしゃぶりの歯並びへの影響ですが、
3才までのおしゃぶりであればほとんど影響がないといってよいでしょう。
乳歯の時期であれば永久歯に後遺症を残さないという点では、
指しゃぶりといっしょなのです。
ただし、油断は禁物。歯並びに影響が出るのは、赤ちゃんのしゃぶる力、
しゃぶっている時間の長さ、そしてあごの強度、などの要素が関係しており、
これは非常に個人差があるものです。
乳歯の段階でおしゃぶりが原因で歯並びに乱れが出てきているのであれば、
意識して徐々にやめさせましょう。
★4〜5才以降の指しゃぶりはやめさせ方に注意
4〜5才を過ぎても頑固に指しゃぶりを続けている場合、
やめさせるには時間がかかるでしょう。
指しゃぶりは親の意思でやめさせることはできません。
また、無理やりやめさせようとすると逆効果になる場合もあります。
たとえば、指しゃぶりのかわりにタオルを強くしゃぶるようになったり、
ほかのものをしゃぶるようになったり……。
これでは、歯並びに悪影響を及ぼすことでは変わりありません。
やめさせたいときは、いきなりではなく、段階を踏んでみてはいかがでしょうか。
たとえば、眠いときにしゃぶるなら、
しゃぶるスキを与えないように寝る寸前までお話を聞かせてあげるとか、
ほかのもので興味をひく方法もあるでしょう。
また、なかなかやめられない指しゃぶりは、
子どもの不安や寂しさに原因があることもあります。
その不安や寂しさを解消することが、
やめさせる一番の特効薬になる場合もあるのです。
これを裏付ける典型的な例は、2人目の子が生まれたとたんに
上の子の指しゃぶりが再発するケースです。
いわゆる「赤ちゃん返り」の一種でしょう。
このケースは大人が下の子に注目しすぎて上の子が寂しくなったのだろうと
想像することができますから、上の子の不安や寂しさを取り除くべく、
下の子が寝ている間など極力時間を作って、いっしょに遊んであげたり、
お話を聞いてあげ、子どもをストレスから解放してあげる工夫が必要でしょう。
また子供と一緒に指しゃぶりの症状を見て
「指しゃぶりを続けているとこれがもっとひどいことになっちゃうよ」
と諭してあげましょう。
すると子供はまず「指しゃぶり=悪いこと」だと認識してくれます。
そして「ママと一緒に頑張ってやめようね」と優しく止めることを勧めましょう。
また少しでも指しゃぶりをしていないことを褒めることも忘れてはいけません。
子供にとって褒められるということは非常に効果のある精神安定剤になります。
褒められて嬉しくなれば、
また褒められるように褒められることをしようとするものです。
★問題のある指しゃぶりは5〜6才を過ぎてからのもの
子どもによって個人差がありますが、
一般的に6才ごろから徐々に永久歯が生え始め、
12〜13才あたりですべての歯が永久歯に生えかわります。
永久歯が生え始める5〜6才になっても、指しゃぶりが続いている場合は、
早急にやめさせる必要があります。
永久歯の歯並びは矯正の治療をしない限り、歯並びが治ることはほとんどありません。
具体的な症状としては、
1.指しゃぶりを続けたことで、奥歯はかみ合うのに、
前歯がかみ合わなくなる開咬(かいこう)や、
2.指をしゃぶりながら前歯を前に押し出してしまい、
上の前歯を中心に極端に前に出てしまう上顎前突(じょうがくぜんとつ)、
3.逆に指をしゃぶりながら下の前歯を押し込んでしまい、
歯並びのアーチが狭くなり歯並びがデコボコになる叢生(そうせい)があります。
また、常に指をしゃぶっている場合、
歯並び以外にも影響が出るケースもあります。
たとえば指しゃぶりにより上下の歯の間に隙間があいてくると、
その隙間に舌を押し込んだり、
飲み込むときに舌で歯を強く押し出すような癖が出やすくなります。
このような癖を「舌癖(ぜつへき)」といい
舌癖のあるお子さんは話をするときに前歯の隙間に舌が入るため、
サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずな発音となることがあります。
また、口の周りの筋肉がバランスを失い、
うまく唇を閉じることができなくなってしまう症状もあります。
とくに前歯が突出してくると、くちびるを閉じにくくなり、
いつも口を開けている癖がつき、
鼻や咽の病気がないのに口での呼吸をしてしまうようになります。
指しゃぶりによって発生する歯並びの症状を少しでも知っておくと、
子どもの歯並び異常の早期発見につながるので、参考にしてください。